「だいかい文庫がない豊岡は嫌だ」― 城崎温泉街で書店を営む・西垣さんが語る寄付の理由

「だいかい文庫」は地域の人々がつながり、ケアが生まれる場としての運営を目指しています。

そんな「だいかい文庫」を支える一人に、城崎温泉街で書店を営む西垣さんがいます。
「人が集まる場所を作る」ことを大切にする西垣さんがなぜ継続寄付で応援いただいているか、その背景には、地域への愛着や団体スタッフとの深いつながりがありました。

本記事では継続寄付をはじめたきっかけ、また西垣さんが「だいかい文庫」に寄せる想いや願いについて、インタビューさせていただきました。


ーーー本日はよろしくお願いします!だいかい文庫にご寄付いただく前に、西垣さんの関心のあったテーマや背景を教えてください

西垣さん

うちは8年ほど前から書店をやっています。だいかい文庫の守本さんが屋台で本を売っている頃、守本さんからだいかい文庫を始めたいと相談をもらっていたので、本屋業界のことを話したりしました。書店業界は儲からないと言い続けていたのに、守本さんは実行した。その姿勢がすごいなと思いました。

また、うちの書店のテーマは「人が集まる場所を作る」こと。シェアスペースやブックカフェも運営しています。同じ業界として、だいかい文庫の動きには注目していましたし、ずっと見ています。

西垣さんが営む書店「Book store iChi」

Book store iChiは、兵庫県豊岡市城崎町の温泉街にある本屋さんです。旅先の宿で日々の喧騒を忘れ、ゆったりとしたひと時を過ごす時、寄り添う物語がここにあります。新刊の書籍や雑誌はもちろん、様々な小説の古本を1冊100円(税込)で販売しており、旅の思い出をより鮮やかに彩ります。たくさんの小説家や芸術家が訪れた城崎温泉ならではの、城崎温泉旅館経営研究会が立ち上げた「本と温泉」という出版レーベルの本もご用意しております。「温泉地文学」という本のかたちに是非触れてみてください。

(公式サイトはこちら:https://www.bookstoreichi.com

ーーー守本さんとの出会いはどのようなものでしたか?

西垣さん

うちが起業したばかりの頃、移動販売の飲食店をやっていました。兵庫県豊岡市街にある公設市場でイベント出店していた際に、コーヒーを無料で配っている青年がいて、それが守本さんでした。彼の周りには、医者や看護師といった社会的ステータスの高い人たちがいて、驚いたのを覚えています。

ーーーそうだったんですね。少し話は変わりますが、これまで他のNPOへの寄付やボランティア経験はありますか?

西垣さん

僕自身、フリースクールの理事をしています。豊岡市内で学校に行けない子どもたちのために、学びの場や社会経験を積める場を提供するNPOで、立ち上げにも関わっていました。また、映像制作の仕事もしていて、豊岡市内の高校生が映像に出演するような試みもしています。

ーーー継続寄付の決め手は何でしたか?

西垣さん

一番の理由は、スタッフさんの佐藤さんが頑張っているからです。佐藤さんには、過去に僕の知り合いがお世話になりました。その当時、知り合いは家から出られない状態だったことがあったのですが、彼女が話を聞いてくれたことで前向きになれたんです。それがあったので、佐藤さんが関わっている活動や寄付の募集は、応援したいと思うようになりました。

ーーー継続寄付をする際に、悩んだ点はありましたか?

西垣さん

お金が潤沢にあるわけではないので、申し込みをする前は、瞬間的には悩みました。でも、だいかい文庫の現場で物事が動いていて、そこにいるスタッフさんが協力を求めているなら、応援しない理由はない。結局、応援する原動力は義理人情じゃないかなと思います。

ーーー継続寄付をして、気持ちに変化はありましたか?

西垣さん

大きな変化はないですが、「だいかい文庫がない豊岡は嫌だな」と思います。家と職場以外のサードプレイスやコミュニティがまちの中にあることは、人生に大きな影響を与えるなと感じています。自分がやりたいと思うこと、いいなと思うことへの共感者がいるのは、心強いですからね。

2人でも3人でも大きさに関わらず、自分がそこにいたいと思えるコミュニティを見つけられるように、多種多様なコミュニティが豊岡の中で生まれ続けてほしいです。そんなつながりが生まれる場所が豊岡から無くなってしまうのは困るので、だいかい文庫の活動は続けてほしいと思っています。

ーーーだいかい文庫の今後の活動について、期待や要望はありますか?

西垣さん

だいかい文庫がまちの人に活用され続けることが大事だと思ってます。豊岡市内は空き家が多いので、電気がついているだけでも目立つし、嬉しい。もし可能なら、だいかい文庫に24時間営業のワーキングスペースという機能も付いたら嬉しいですね。

ーーー本日はお時間をいただき、ありがとうございました!


ケアをまちに編み込む仲間として、ともに歩みませんか?

ケアと暮らしの編集社では、毎月のご寄付で活動を応援する継続寄付会員を募集しています。
弊社の活動は制度の狭間に位置しているため、行政の事業や制度事業ではなく、自主事業として行っています。そのため、継続的な活動運営や発展はご寄付を収入にしています。

また、私たちは継続寄付会員のみなさまを「ケアくらメイト」とお呼びしています。単に寄付する・されるの関係性だけではなく、ケアの輪を広げていく仲間としてともに歩んでいただきたいと思っています。

継続寄付は、毎月500円から始めていただけます。ぜひご検討ください。

記事執筆者

恒本茉奈実(ファンドレイジング部)

1998年生まれ、岐阜県大垣市出身。地域での多文化共生の取り組みを通じて、社会課題の解決を目指す事業に関心を持つ。新卒から約3年間、NPOなど非営利団体向けのITサービスを提供する企業でディレクターとして従事。その後、地域での実践の場で働きたいという思いから2024年9月よりケアくらに参画。