事業開始年

2024年~

事業概要

2024年7月より、図書館や映画館等を入り口としたユースセンター事業「本と映画 テルル」の運営を開始しました。本や映画といった多様な物語を入り口に、10代の子ども若者自身の世界が広がっていくきっかけが生まれる場所になることが狙いです。ケアと暮らしの編集社が運営する「本と暮らしのあるところ だいかい文庫」と、一般社団法人豊岡コミュニティシネマが運営する「豊岡劇場」の2拠点で開催しています。

対象者:豊岡市近辺に在住・在学の10代

  • 家から出づらい、出ようとしても行先がない10代
  • 家庭や学校以外の居場所のニーズを持つ10代
  • 図書館/映画館として利用したい10代
  • 放課後のたまり場のニーズを持つ10代

実施内容

  • 予約・受付不要、開館時間内出入り自由
  • 図書館/カフェ/本屋/映画館として利用可能、本事業の日は、映画鑑賞無料
  • 割安価格で飲食購入可能(持ち込みも可能)、飲み物すべて100円、お弁当、水筒、軽食の持ち込み可能
  • フリーWi-Fi、電源あり

協力
一般社団法人豊岡コミュニティシネマ

助成元
認定NPO法人カタリバ/NPO法人ETIC「ユースセンター起業塾」

取り組みの背景

令和4年度の文部科学省の調査では、小中の不登校は30万人に及ぶと言われています。特に中学生は6%程度が不登校であり、日本財団の調査によると保健室登校等の不登校傾向まで入れると13%強が当てはまります。日本では、2016年の教育機会確保法以来、学校以外のフリースクール等の可能性が示されました。

しかし、私たちが活動拠点を置く兵庫県豊岡市等の但馬地域では、フリースクールは少なく、地域資源に恵まれていません。

出典:加盟団体一覧 | フリースクール全国ネットワーク (freeschoolnetwork.jp)

「本と映画 テルル」の特徴

全国的に珍しい「図書館」や「映画館」を活用したユースセンター

図書館や映画館等を入り口とした映画館や図書館という空間は「個」を保ちつつ、「場」は他者と共有できるという、特殊な環境でもあります。他者との触れ合いがなくても、ある一定の距離感で他者と出会うことができ、孤独感を抱える子どもも安心して利用できる可能性があります。

また、映画や本による学びは、正解も不正解もない多様な価値観を私たちに提示してくれます。作品を通じて、教科書とは異なる学びの糸口に出会うことになったり、言葉にならない自分自身や他者への共感が生まれたりと、映画を通した学びはとても自由で想像的です。私たちの探究心や感性、何よりも生きる楽しさを育む学びとしてぴったりです。

多様なセクターの方達と築く、包括的なセーフティネット

2つの非営利法人だけではなく、教育関係者、芸術関係者、地域コミュニティのみなさまとの連携により、 多様なセクターの方達との包括的なセーフティネットを築いていきます。今まで例にない「映画館」「図書館」という地域資源を活用することにより、子どもたちが足を運びやすい(外に出やすい)環境を作っています。

テルルへの参加が「学校の出席扱い」に

「本と映画 テルルへ」への参加は「学校の出席扱い」になります。兵庫県北部にはフリースクールが一拠点あるのみであり、10代が居られる行き先の選択肢が限られています。そんな中でテルルへの参加が「学校の出席扱い」になることで、学校に行きづらい、行くのをやめた10代が昼間居られる場所の選択肢のひとつとなります。

数字でみる「本と映画 テルル」

実際に来ている10代の様子

駅前商店街だいかい通りに面しただいかい文庫では、商店街沿いにぶらりと歩く中でカフェとして気軽に立ち寄る10代の姿が見られます。
豊岡劇場では、上映作品の情報を見て、鑑賞したい映画をめがけて足を運ぶ10代も見られます。

いずれも、「相談しよう」「困ったことについて話したい」というよりは、普段使いの図書館/カフェ/本屋さん/映画館として親しまれています。暮らしの動線上にある図書館/映画館として気軽に入って来て過ごす中で、そのうち子ども若者自身の声も聴こえてくるようになりました。

「豊岡近辺で同世代の友だちがほしい」「勉強で悩みがある」「演劇の練習をするための場所を探している」

わたしたちテルルスタッフはあくまで伴走者ではありますが、継続的な来館により、だいかい文庫での友だちの輪が広がっていったり、勉強について色々な視点を聞くことで本人の捉え方が変化する機会ができたり、地域の場所探しをするための呼びかけポスターを掲示したりといった動きも出てきています。10代が発してくれた声に、これからも丁寧に応えていきたいと思います。

テルルで過ごすモデル例

活動レポート

関連リンク

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