一般社団法人ケアと暮らしの編集社 代表理事
守本 陽一
もりもと よういち
1993年、神奈川県生まれ、兵庫県養父市出身。医師。修士(芸術)。
自治医科大学在学時から医療者が屋台を引いて、街中を練り歩くYATAI CAFEや地域診断といったケアとまちづくりに関する活動を兵庫県但馬地域で行う。総合診療医として病院で働く傍ら、2020年11月に、一般社団法人ケアと暮らしの編集社を設立。
地域を癒す医師になる
私が病院で勤めていたときの話です。
軽症にも関わらず、何度も受診する60代の男性がいました。この程度の症状が病院にかかる必要はありませんよ、救急車を呼ぶ必要はありませんよ。そう伝えても、何度も同じことが起きました。よくよく話を聞くと、妻を亡くし、自分の病気の不安を誰にも打ち明けることができず、押しつぶされそうになりながら、救急車を呼んでいたそうです。
彼の受診の原因は「孤独」でした。しかし、病院の中にいては、孤独を解決することはできませんでした。
そんなとき、薬ではなくつながりを処方する「社会的処方」という言葉に出会いました。私たちは、社会的処方を社会実装するために、2016年に医療者で移動式屋台を引いてカフェを始めました。白衣を脱いで地域の方とお話してきました。その後も映画館とのコラボイベントやアート作品への出演等の活動を続けながら、まちとケアの橋渡しになってきました。
ケアと暮らしの編集社は、”ケアするまちをデザインする”をミッションに、街に暮らすことでウェルビーイングになっていく社会を作ります。
地域社会からなくなっていく「ケア」の営み。昔のように自治を強制することは難しい時代です。そこで、私たちが大事にする考えは、面白そう、楽しそう、美味しそう、ポップな感情です。医療介護関係者のみならず、街に暮らす人々とともに、まちづくりやアート、デザインといったこれまで医療とは遠いとされてきた分野の方ともコラボします。自然とつながりが生まれる地域社会は、孤独に対する処方箋になるはずです。
「暮らしていたら、自然と健康になっていた」ケアとまちづくり活動を実践していくことで、街全体を健康にしていくのが弊社の役割です。
2024年10月 代表理事 守本陽一
経歴
2016年12月 | モバイル屋台de健康カフェの実施 |
---|---|
2019年4月 | 日本プライマリケア連合学会, 地域ケア事例集作成プロジェクトチーム委員を務める |
2019年8月 | ケアとまちづくり未来会議の開催 |
2020年11月 | 一般社団法人ケアと暮らしの編集社の設立 |
2021年3月 | 厚生労働省保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくり(社会的処方モデル事業)事業の審査員を務める |
2022年4月 | 養父市社会的処方推進課の伴走支援の実施 |
2022年4月 | 日本プライマリケア連合学会, 地域包括ケア委員会委員を務める |
2022年4月 | 2023年3月養父市教育のあり方検討委員会, 委員を務める |
2024年5月 |
出版・共著情報
社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法
2020年2月1日 出版
医療をめぐる諸問題の最上流には「社会的孤立」がある。薬ではなく地域での人のつながりを処方する「社会的処方」の取組を紹介。
西 智弘 (著, 編集), 藤岡 聡子 (著), 横山 太郎 (著), 守本 陽一 (著), 森田 洋之 (著), 井階 友貴 (著), 村尾 剛志 (著), 西上 ありさ (編集), 出野 紀子 (編集), 石井 麗子 (編集)
ケアとまちづくり、ときどきアート
2020年6月18日 出版
緩和ケアを発展させるヒントは「まち」にある.注目の社会的手法がわかる,新バイブル.
西 智弘 (著)、守本 陽一 (著)、藤岡 聡子 (著)
みんなの社会的処方: 人のつながりで元気になれる地域をつくる
2024年2月29日 出版
いま孤立しているかどうかや、病気や障がいの有無、年齢に関わらず、「誰もが暮らしているだけで自分の生き方を実現できるまち」をどうつくるか。世界と日本の取り組みに学び、これからのビジョンを示す一冊。
西 智弘 (編集, 著), 岩瀬 翔 (著), 西上 ありさ (著), 守本 陽一 (著), 稲庭 彩和子 (著), 石井 麗子 (著), 藤岡 聡子 (著), 福島 沙紀 (著)
論文情報
- 『コミュニティ図書館を起点とした社会的処方の取り組みと住民およびコミュニティへの効果』Y. Morimoto. Social Prescribing Initiative at Community Library and Its Impact on Residents and the Community: A Qualitative Study. Prim Care Community Health. 2023
- サードプレイスに関わる人々が語る地域の実像—〜「だいかい文庫」の ‘リンクワーカー’ 的人材から見た豊岡市〜 古賀 弥生, 守本 陽一 芸術文化観光学研究 2 114-122 2023年 査読有り最終著者Social Prescribing Initiative at Community Library and Its Impact on Residents and the Community: A Qualitative Study.
- Yoichi Morimoto, Yayoi Koga, Tsuneaki Kenzaka, Daisuke Son
- Journal of primary care & community health 14 21501319231181877-21501319231181877 2023年 査読有り
- 家庭医が街で屋台を引いたら:モバイル屋台による地域健康生成プロジェクト 孫大輔, 密山要用, 守本陽一
- 日本プライマリケア連合学会誌 41(3) 136-139 2018年9月 査読有り
- 学生主体の地域診断の取り組みとその教育学的効果について 守本陽一, 孫大輔, 中村剛史
- 月刊地域医学 31(4) 292-300 2017年4月 査読有り
登壇情報(一部抜粋)
イベント登壇
- NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク 基調講演 自助そして社会的処方「つながりの力」が地域を変える
- サステナブルシティ・サミット4〜 サステナブルシティへの創造的アプローチ〜アジャイルな積み重ねの先に〜
- 全国こども食堂支援センター・むすびえ/NPO法人ETIC
第7回 「居場所づくりは地域づくり」 〜地域と居場所の新しい関係性を目指して〜 - 神戸クリエイティブデザインセンターKITTO|第3回 地域課題解決+クリエイティブトーク 「ケアするまちをデザインする」
学会登壇
- 第2回 日本地域医療学会 学術集会「社会的処方とはなにか。但馬地方での広がり」
- 第82回日本公衆衛生学会シンポジウム「皆がつながる温かい社会を目指す社会的処方 今公衆衛生に出来ることは?」
- 第15回日本プライマリケア連合学会シンポジウム「行政と関わるー社会的処方、重層的支援体制整備事業から考えるコミュニティケアー」
行政・法人
- こども家庭庁アカデミー
- 可児市文化創造センターala まち元気サポーター養成講座 社会的処方の実施
- 養父市社会的処方推進課 社会的処方と重層的支援体制整備事業
- 兵庫県社会福祉協議会生活支援コーディネーター研修
講義
- 自治医科大学医学部 「公衆衛生学」外部講師
- 皇学館大学 図書館学 外部講師
- 芸術文化観光専門職大学 コミュニティ論 外部講師
暮らしの中にケアが溶けている地域社会をともにつくる仲間になりませんか?
ケアくらが目指す未来をともに作っていく仲間を募集しています。
「ケアくらメイト(継続寄付会員)」やコミュニティへの参加など、あなたにあった関わり方を選んでください。